肘掛けの課題

座り心地を重視する椅子には肘掛が備えられています。
肘掛があることにより、腕の置き場が確保でき、肩から腕を休ませることができます。
リクライニングチェアや、一人掛けのソファーなど、従来の椅子に備わる肘掛は、手の甲を向くように腕がおかれています。最古の椅子といわれるヘテプヘレスの椅子も肘掛を備えています。
ゲーミングチェアの肘掛の機能としては、肘掛に肘を乗せながらキーボードを打つことができるものもあります。
肘掛は、くつろぐ際は腕や肩にとって脱力でき、楽な状態となることからこのような肘掛の形になっているのではないかと思います。合理的な構造となっているため、ビジネスチェア、ゲーミングチェアや、寛ぐためのリクライニングチェアにも備えられています。

この肘掛について、無いよりも有ったほうが良いし、楽に座れるため、それ以上の課題を見出されてはいませんでした。
しかし、長時間の座位姿勢が長期間続くことで引き起こされる身体の不調には、この肘掛にも大きく関係していると考えています。
長時間の座位姿勢、とくにデスクワークや勉強などの身体の位置を想像してみてください。腕が内側に捻じられ、手の甲が上を向いた状態が維持されます。
これの何が問題なのかは、あまり広くは知られていませんが、手首のねじれは、肩こりや腰痛など、身体のバランスを乱す原因となる場合があるのです。
関節は一方向に捻じられて維持されると、逆方向に可動しにくくなります。
それはどの関節も例外はありません。
では従来の椅子に設置されている肘掛けに腕を乗せている状態と、デスクワークなどをする腕の状態を比較してみましょう。
違いといえば、手が置かれている位置が、机の上にあるか、

肘掛の上にあるか、というくらいほぼ同じ状態です。

たとえ、肘掛に乗せた腕が脱力していたとしても、腕が捻じられる方向は同じです。

筋肉が脱力できれば、力が入らない分楽かもしれませんが、だからといって捻じられて歪んだ関節は元に戻せるわけではありません。
一度腕がねじれて肘関節や手首の関節が歪むと、前腕や上腕の力みが抜けにくくなります。さらには、肩関節、肩甲骨も、特定の方向に変位し、その影響が腰背部へ拡大します。
これらの課題にアプローチするのがムーブメントチェアによるイストレです。