05 身体から読み取る5つの感覚
身体とコミュニケーションをとる方法
身体に起こる歪みを補正するためには、セルフケアを実施することにより起こる「感覚」を読み取り、歪みに対して正しい補正を知ることが必要です。身体から発する5つの感覚について説明します。
【動画】7:25
※動画の概要欄に項目がリンクされていますので、ご自身のペースでご視聴ください。
【身体から読み取る5つの感覚】
00:00 オープニング
00:54 身体が求める「補正」とは
01:10 感覚のメッセージ化
01:40 1.嫌な痛み
02:22 2.心地よい痛み
02:59 3.心地よい感覚
03:40 4.痛みがなく、心地よさを感じない
04:16 5.鈍い感覚
05:56 まとめ
動画の内容は以下の通りです。
身体から読み取る5つの感覚
身体とのコミュニケーションを取る方法
身体から読み取る5つの感覚
セルフケアにより体調を管理する上で必要なことは、身体の変化を確認することです。セルフケアとは、普段何気なく過ごす中で起こる高頻度姿勢、高頻度動作による身体の歪みを感じ取り補正することです。
セルフケアを実施しなければ、高頻度姿勢、動作による身体の歪みを自覚することができず、気付いた時には疲れや違和感、更には痛みを感じるようになります。
毎回同じ体操を繰り返すことも大切ですが、ご自身の身体に起こる歪みを補正するためには、セルフケアを実施することにより起こる「感覚」を読み取ることで、歪みに対して正しい補正を知ることができます。
身体から読み取る5つの感覚
その「感覚」は身体が発するメッセージです。ここでは、身体が発するいくつかの感覚から、メッセージを読み取り、身体が求める「補正」を探る方法を説明します。
身体が求める「補正」とは
「補正」に必要なことは、「歪み」を知ることです。
ご自身の身体がどのように歪んでいるのかを知ることにより、正しい補正を探ることができます。
正しい補正を探る方法は、いくつかの感覚を組み合わせて、その感覚をメッセージ化します。
感覚のメッセージ化
身体からのメッセージは、主に5つの感覚から読み取ります。
1.嫌な痛み(耐えられない、生理的な痛み、麻痺、しびれ)
2.心地よい(気持ち良い)痛み・・・痛いけど気持ち良い
3.心地よい(気持ち良い)
4.身体の柔軟性が保たれ、痛みがなく、心地よさを感じない
5.鈍い、または可動範囲が狭い
これらについて説明します。
1.嫌な痛み(unpleasant pain:UP)
嫌な痛み、生理的な痛みとは、耐えられない、打撲のような痛み、麻痺、しびれ、冷や汗などが該当します。この感覚では、血圧の変動により意識が遠のいたり、ショック状態となり大変危険な感覚です。
セルフケアにおいて嫌な痛み、感覚は、歪みを助長させることにつながります。
痛みを耐えると良くなる・・・というのは、交感神経が優位になり、痛みの感覚が一時的に感じにくくなっている状態です。また、炎症を起こしている場合は、更に痛みが悪化します。
このような感覚は避けるようにしてください。
2.心地よい痛み(pain feels good:PG)
もともとの歪みが強い状態から補正されるということは、日常生活のなかで、繰り返される動作(高頻度動作)や姿勢(高頻度姿勢)により強く関節が歪んだ状態が補正されていることになります。
また、心地よさより痛みの感覚が強い場合は、強いアジャスターによる接触補正や、急激な動作補正を実施することにより、前述の1と同様に、生理的な痛みに繋がる場合があるため、バックバーを把持し、腕の力で小刻みに接触、動作を行ってください。
3.心地よい感覚(comfort:C)
心地よさは、歪みが補正されている感覚となりますので、適切に補正されていることになります。
ただし、2の心地よい痛み(PG)と同様にアジャスターによる強い接触や強い補正動作により生理的な痛みに繋がる場合があるため、セルフケア開始から強いアジャストや可動を避け、加減をしてご自身の身体の感覚を感じ取りながら実施して下さい。
この感覚をしばらく繰り返していると、次第に心地よい感覚が減少します。この補正(動作、接触)が完了したことを示します。他の部位への補正(動作、接触)を試み、次の心地よさを探しましょう。
4.痛みがなく、心地よさを感じない(painless:PL)
最終的に目指す状態です。前述のとおり、歪みが補正され、関節の可動性が保たれると、痛みや心地よさが徐々に減少します。
しかしながら、その個所の痛みや心地よさが減少しても、歪みは連動しているため、他の部位に残っている場合があります。
他の部位でのアジャスターによる補正接触と、関節の補正動作を実施してください。
セルフケアを実施する中で、新たな心地よさを探し、補正すべき接触、動作を追い求めてください。
5.鈍い感覚(dull sensation:DS)
4のLPは、歪みや可動制限がない状態ですが、身体の硬さが強く、アジャストの感覚が鈍い場合があります。
このケースでは、圧力を強めても痛みや心地よさの感覚が少なく、補正が充分に作用しません。このような方は、ご自身で実施するストレッチや体操などのセルフケアを実施しても効果が実感できず、強い刺激を求める傾向があります。
この状態は、長期間にわたり、高頻度姿勢、動作により不調の悪循環となっているため、一時的に強く刺激をするだけでは悪循環から抜けることは難しい場合もあります。
疲れや痛みなど不快な感覚と同様、この「鈍い感覚」も長時間の座位姿勢による不調の悪循環は、首、肩、胸腰部、股関節、下肢が連動した歪みが起こっているため、各部位だけを強く刺激したり、補正しても、「好循環」へ移行することは容易ではありません。
このケースでは、セルフケアにより連動した歪みを補正することで、それまで鈍かった感覚が心地よい感覚へと変化します。また、関節の可動域が広がり、日常生活の動作に変化が実感できるはずです。
補正では、刺激を強めるよりも、持続的な接触と補正動作を組み合わせることにより、時間をかけて一つ一つ絡んだ紐がほどけるように感覚に変化が起こります。
セルフケアの基本3を参考にして、支持部(SP)を後方に調整してアストレスクを実施してください。
長期間蓄積した硬さは一日で起こったものではありません。回復も同じように、焦らず日々セルフケアを実施してください。
まとめ
身体から起こる感覚(メッセージ)は、5パターンあります。
1.嫌な痛み(耐えられない、生理的な痛み、麻痺、しびれ)
→歪みが拡大するため、その補正(接触、動作)は禁止。
2.心地よい(気持ち良い)痛み・・・痛いけど気持ち良い
→歪みが補正されているが、過度な補正(接触、動作)は控える。
3.心地よい(気持ち良い)
→歪みが補正されている。心地よさが軽減したら次の心地よい補正(接触、動作)を探す。
4.身体の柔軟性が保たれ、痛みがなく、心地よさを感じない
→身体が良好な状態。この状態を目指して日々セルフケアに取組みましょう。
5.鈍い、または可動範囲が狭い
→セルフケア基本3を参考に持続的な補正(接触・動作)を実施してください。
このように、身体が発する感覚(メッセージ)を元に実施するべき補正(接触・動作)を探し、実施最中の身体の変化、更に実施後の身体の変化を日々観察し、前回との違いを記録して、ご自身の健康管理を行ってください。
これらの記録を積み重ねることにより、日頃の姿勢の課題を振り返ることができ、セルフケアの精度向上に役立ちます。